立川談春「赤めだか」/感想


立川談志の弟子、立川談春が弟子入りから修行時代、二つ目までの成長を書かれた自伝エッセイです。落語の世界を知らない私でも楽しんで読めました。落語を知っている人なら、1つ1つのエピソードをもっと楽しめたことでしょう。

そもそもこの本を読みたいなって思ったきっかけは、天才と呼ばれる立川談志が弟子に対する指導はどうやっているんだろうな?というところです。非常に厳しい修行なんじゃないかなーと思ってたんですが、弟子からの感想はそうではなかったようです。

相手の進歩に会わせながら教える。

掛け算しかできない者に高等数学を教えても意味がない、ということに僕は頭ではわかっていても身体が反応しない。教える側がいずれ通る道なのだから今のうちからと伝えることは、教えられる方には決して親切なこととは言い切れない、ということを僕は自分が弟子を持ってみて感じた。混乱するだけなのだ。学ぶ楽しさ、師に誉められる喜びを知ることが第一歩で、気長に待つ、自主性を重んじるなど、お題目はいくらでもつくが、それを実行できる人を名コーチと言うのだろう。

人に教えるというのは非常に大変なことだと実感してます。相手のマイナス面が非常に見えて、そこだけ指摘してやりたくなる。これは教える側、教わる側、双方にとって悪循環。「相手の進歩に合わせる」とは、教える側とって、忍耐のいる事です。そうそうできることじゃありません。

改めて、立川談志ってスゲー人なんだなって思いました。また、弟子の談春さんの文章の書き方が非常に読みやすい。この人の落語を聴いてみたくなりました。



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